15ページ目~ハラスメントと向き合う。同業者としての務めとは。~
「同業者として、このような出来事が起きてしまって、大変申し訳ございませんでした。」
そう告げたのは、私が大学教員からハラスメントを受けてしまい、誰かに相談したい思いで行った学生相談室のカウンセラーさんだ。
こんなこと、決して起きてはいけない出来事なのは確かだ。
自宅からリモートで授業を受けられ、授業資料なども配布してもらえる内容の支援だ。
とある講義をリモートで受けた時、教員から言葉の暴力、いわゆる"ハラスメント"というものを受けてしまった。
それは、何度思い出しても辛くて泣いてしまうほどの出来事で、言われた言葉を一語一句明確に覚えている。録音もしてある。
その出来事が起きてから、私は1週間家に引きこもってしまった。
バイトも1週間休み、人に会うことや大学に行くことが怖くなった。
食欲もなくなり、精神状態も悪化してしまい、精神安定剤を変えてもらったり、食欲を出させる薬も飲んだ。そこまでしないと、本当に何も食べる気になれなかった。
そんな中、私は大学の学生相談室という場所のホームページを開いていた。
今回の件がハラスメントになるのか、私はこれからどうしていけばいいのか分からなかった。しかし、病院の先生や、周りの人々から学生相談室に行くことを勧められ、予約の電話をした。
そして、勇気を出して、大学に行った。
久々の外。久々の景色。
人気の少ない建物の中にある学生相談室。
そわそわしながら中に入ると、カウンセラーさんが招いてくれた。
第一印象は、優しそうだった。
その先生に、今回の出来事を全て話した。
涙が止まらなかったが、それでも最後まで話した。
すると、先生は私に「まず、今回件は完全にあれです」と言いながら指を指した。指した先にあったのは、ハラスメントのポスター。
私は、「そっか。やっぱりハラスメントか。」と、すぐに理解できた。
そして、そのまますぐハラスメント委員会に連絡をしてくださり、後日、また話し合いをすることになった。
その日、カウンセラーの方から言われた言葉に救われ、これから私は戦わなくちゃいけないのだと決心がついた。
そして、カウンセラーの方から言われた言葉を今でも忘れない。
「同業者として、このような出来事が起きてしまって、大変申し訳ございませんでした。私から謝罪をさせて頂きます。今回の出来事は、決して起きてはならないことです。そして、彼らは公認心理師、臨床心理士の資格を持っている、いわばプロフェッショナルです。そんな人達が、あなたの心に傷をつくった。本当に申し訳なかった。」
先生は、跪き、私の目を真剣に見ながら言った。
私は、どうして謝罪するべき当事者ではなく、同業者としての役目をきちんと果たしている人から謝罪をされないといけないのかと、怒りと疑問でいっぱいだった。初めて会ったが、その方はきちんと人の心に寄り添っている人だと私はすぐにわかった。
先生は、「私はハラスメントの担当をすることが出来ないけれど、みかんさんのサポートをこれからもしていきたい。もちろん、ここに来なくても電話やリモートでもいいです。ゆっくりでいいです。また私とお話をしましょう。」と言ってくれた。
その後、学生相談室を出て、私はハラスメント委員会の方と一緒に戦うことを決意した。